春闘に取り組もう


 

3月中旬から各支部で賃上げや労働条件の改善を求めて団体交渉を行います。要求どおりの賃上げを実現し、働きやすい職場に改善していくために、全組合員が団結して春闘に取り組んでいきましょう!

四角形吹き出し: Q1

「春闘」とは何ですか?

 毎年、春に労働組合が経営側に対して統一の賃上げ要求や労働条件の改善を求めて行なう取り組みのことを言います。1955年に8つの産業別労働組合が共闘して、統一賃金闘争を開始したのが春闘の始まりです。それ以前は企業ごとに賃上げの時期が異なり、バラバラに交渉していましたが、組合側が経営側による賃上げの抑制を打ち破るために、労働組合が産業の違いを超えて団結し統一した闘いを実現しました。当初は労働組合のナショナルセンターである総評が中心になって春闘に取り組んできましたが、1990年からは連合が中心に取り組んでいます。

四角形吹き出し: Q2

「ベア」とか「定昇」とは何ですか?

 春闘で使われる「定期昇給(定昇)」とか、「ベースアップ(ベア)」とかという用語はどういう意味でしょうか。





★定期昇給とは?

 定期昇給とは、賃金表に基づいて年齢・勤続によって賃金が上昇していく分をいいます(図の青線部分)。賃金カーブ維持分という言い方もします。

★ベースアップ分とは?

 ベースアップとは、全体の賃金水準の引き上げのことです(図の赤線部分)。

 定期昇給とは、30歳の労働者が31歳の先輩労働者が得ている賃金と同じ賃金を得るということですから、労働者の生活水準が向上するわけではありません。このことは、経営側からすれば、従業員全体の総額人件費はまったくかわらないということです。ベースアップを行うことで初めて労働者の生活水準を向上させることができるのです。

 中小企業の場合には、定期昇給制度がない職場もあります。そういう職場でも、1歳年上の先輩に賃金が追いつくために必要な賃上げ分を定期昇給分といいます。連合の調査では、中小企業の全国平均で4,500円です。これに生活向上分を定期昇給にあたる分とベースアップ分を合わせて要求する必要があります。全国一般は、定期昇給分と合わせて、税金や社会保障費の値上がり分、大企業との格差を解消する分を合わせて組合員平均8,000円以上の要求を掲げています。

四角形吹き出し: Q3

大手企業でも、わずか500円しか賃上げがないのですか?

 企業業績が史上最高の収益をあげているような大手企業でもここ何年か、ベースアップがありませんでした。今年の春闘でもすでに妥結した大手組合はベースアップ500円から1000円です。これだけ見ると、収益が上がっている大手企業でさえわずかな賃上げなのに、中小ではそんなに賃上げは望めないと思うかもしれません。しかし、大手企業の場合、定期昇給分が6000円ぐらいあり、それ以外に賃上げがあるということです。定期昇給分を含めれば、7,000円近い賃上げになります。ですから、定期昇給制度のない中小企業の場合には、定期昇給分を含めた賃上げ要求を実現しないと、大手企業との賃金格差はますます拡大することになるのです。

四角形吹き出し: Q4

賃上げは企業業績によって決まるのですか?

 確かに業績不振の企業は、それを理由に賃金の据え置きや賃下げを提案してくる場合があります。しかし、労働組合のある職場では、経営側の言い分で賃金が一方的に決まってしまうわけではありません。労使対等の団体交渉によって、賃上げなどの労働条件は決定されます。そのために憲法や労働組合法などによって、労働者の団体交渉権や団体行動権が保障されています。

 労働者にとって賃金は、自分と家族の生活を維持していくための唯一の糧です。企業業績によって賃金が簡単に下がってしまっては、労働者の生活は成り立ちません。労働組合で賃上げを要求するのは、私たちの生活水準を維持するためなのです。

 しかし、経営側はそう簡単に賃上げを認めるわけではありません。私たち組合員が一致団結して、団体交渉において粘り強く交渉することによって初めて賃上げを認めさせることができるのです。

四角形吹き出し: Q5

手取りの賃金が毎年、減少しているのは何故でしょう?

 中小企業では、ここ何年も賃上げが低く抑え込まれたり、賃金が据え置かれたりしてきました。にもかかわらず、労働者をターゲットにした増税が次々に行なわれています。法人税の減税はそのままにして、所得税や住民税についての定率減税が半減され、今後、さらに廃止されます。これだけで、毎月何千円も増税になります。様々な所得控除が廃止されることによって、収入の中で課税される金額が増えてもいます。それだけではありません。年収300万円の世帯では、ひと月約7000円以上の増税になります。さらに厚生年金の保険料も毎年値上がりしています。今後、医療費の負担も重くなります。つまり、賃上げの水準が低ければ、増税などによって生活は苦しくなっていくということです。ですから、私たちの生活水準を維持していくためには、賃上げ8,000円要求の実現は不可欠なのです。


HOME