全国一般福井 労働相談
パート・派遣労働者の労働相談に答えます
――パートや派遣労働者にも保障されている労働者の権利
現在、パートやアルバイト・契約社員や派遣労働者などは、正規社員と比較しても突然の解雇や有給休暇もとれないなどのひどい扱いを受けています。しかし、労働者の権利を保障した労働基準法は、正規社員だけでなく、どんな雇用形態の労働者にも適用されます。パートや派遣労働者だから仕方がないと泣き寝入りせずに、労働者としてどんな権利が保障されているのか知っておくことが大切です。
1.突然の解雇、こんなことは認められるの?
3ヶ月契約で勤めはじめたのにわずか1ヵ月で会社の経営者から「明日から来なくてよい」などと突然言われることがあります。しかし、合理的な理由のない突然の解雇は認められません。労働契約期間が3ヶ月とか半年などと決められている有期契約の場合は、経営者は原則として労働者をその期間の途中で解雇することはできません。
経営者にとってやむを得ざる事情がある場合には、30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払って解雇することができます。しかし、その事情が経営者に責任がある場合(例えば資金繰りに行き詰って工場が操業停止になったなど)には、残りの期間の賃金を請求することができます。ただし、地震などの天災や労働者に責任がある場合は、その限りではありません。
実際には、経営者は明確に解雇理由を説明しない場合もあります。その場合には、労働者は解雇理由を書面で要求することができます。
2.長年勤めてきた職場で契約更新が突然打ち切られてしまったら?
有期契約であっても、それを反復して契約更新してきた場合(例えば、半年ごとの契約更新を何回か繰り返したような場合)には、期間の定めのない労働契約と実質上変わらない状態になりますので、「合理的な理由」が無い限り解雇は無効となります。「合理的な理由」がある場合にも、経営者は、労働者に対して契約期間の満了する30日前までに契約更新できない旨を予告しなくてはなりません。
こうした契約更新に関するトラブルを避けるために、経営者は、労働契約の際に労働者に対して契約期間満了後の契約更新の有無とその判断基準をあらかじめ明示することが義務付けられています。契約時に経営者から説明が無い場合には、あらかじめ契約更新ができるのかどうか、確かめておく必要があります。
3.パートや派遣労働者でも有給休暇を取得できるの?
年次有給休暇(自分で申請して取れる休み。給料が支給される)は、正社員は取得できてもパートや派遣労働者にはその権利がないと思っている人はいませんか。そんなことはありません。6ヶ月間以上勤務して、8割以上出勤していれば、どのような雇用形態の労働者であっても、有給休暇を取得する権利があります。経営者の中には、「うちの会社はパートの有給休暇は認めていない」などという経営者もいますが、有給休暇は労働基準法に定められた権利ですから、就業規則などに無くても取得することができます。
有給休暇の付与日数は、所定労働時間や勤務日数によって以下の表のように決められています。また、雇用契約期間が6ヶ月に満たない場合にも、契約更新により継続して6ヶ月以上勤務した場合には、有給休暇の取得が可能です。
派遣労働者の場合には、派遣先が途中で変わっても、同じ派遣会社で6ヶ月以上働いていれば派遣会社に申請して同じように有給休暇を取得することができます。
週の所定労働時間 |
週の勤務日数 |
継続勤務期間に応じた1年間の有給休暇の付与日数 |
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6ヶ月 |
1年6ヶ月 |
2年6ヶ月 |
3年6ヶ月 |
4年6ヶ月 |
5年6ヶ月 |
6年6ヶ月 |
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週30時間以上 または週5日以上 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
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30時間未満 |
4日以上 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日以上 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
|
2日以上 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
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1日以上 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
4.仕事中にゲガをしても労災補償は得られないの?
労働者が業務上のケガや病気になった際に医療費や生活を保障する制度が労災保険制度です。労災保険は、雇用形態に関係なく「一人でも雇用している場合には、強制加入」となります。保険料は全額経営者が負担し、労働者からは徴収されません。したがって、パートや派遣労働者の場合でも、仕事中(通勤途上も含む)のケガや仕事が原因で病気になった場合には、労災保険の給付を受けることができます。派遣労働者の場合には、派遣会社が労災保険料を負担することになっています。
保険給付には、治療費などの療養補償給付、仕事に就けなかった期間の休業補償給付などがあります。また、経営者は、労災休業中およびその後30日間は、その労働者を解雇することはできません。
また、失業した際に失業給付を行なう雇用保険制度も、週20時間以上の勤務で1年以上の就業が見込まれる場合には加入が義務付けられています。保険料は、労使の折半になります。
労災保険や雇用保険は、たとえ経営者が加入を怠っていた場合でも、さかのぼって加入し、給付を受け取ることができます。
5.パートや派遣労働者も労働組合に加入することができるの?
パートや派遣労働者に対しても上記のように法律によって労働者としての権利が保護されていますが、実際には、正社員以上にその権利が守られていない場合がほとんどです。経営者に対してそれを主張すれば、契約打ち切りなどの脅しをかけられ、泣き寝入りせざるを得ない状況におかれています。
しかし、パートや派遣労働者も職場で組合を結成したり、地域の労働組合に加入する権利があります。一人一人の立場は弱くても労働組合に加入すれば、組合として経営者と交渉しますから、権利侵害を改善させていくことが可能です。近年、パートや派遣労働者の組合が結成されるようになりました。とはいえ、同じ職場に正社員の組合がある場合にも、非正規労働者の加入を認めていない場合もあります。しかし、全国一般労働組合の場合には、雇用形態に関係なく、一人でも組合に加入することができます。ぜひ勇気を出して職場での悩みを労働組合に相談してみて下さい。