機関紙「全国一般福井」 284号(2013年5月30日)
2013夏季闘争方針
※5月22日の第5回執行委員会において夏季闘争方針を以下の通り決定しました。
1.夏季一時金3ヶ月以上の獲得
一時金はあくまで生活給の後払いであり、ローン返済や月々の家計の赤字補填にも欠かせない重要なものとなっています。今後、一時金交渉を行う職場では、こうしたことに踏まえて、昨年実績を上回る回答を引き出すために粘り強い交渉が必要となります。
2.競争と分断をはかる業績連動方式・成果主義賃金制度の導入反対
全国一般では業績連動方式や成果主義賃金制度の導入に反対し、組合員全体の賃上げ・一時金獲得を目指して取り組んでいくこととします。
3.65歳までの雇用確保などを目指して付帯要求の交渉を継続しよう
4.夏季一時金の要求基準と闘争戦術日程
○夏季一時金要求 3ヶ月以上(年間6ヶ月以上)
○統一要求日 5月28日(火)
○統一回答指定日 6月4日(火)
○支給日 7月上旬
○闘いのヤマ場 6月中旬
5.夏季闘争を統一闘争として取り組もう
1.「成長戦略」の名による労働分野の規制緩和に反対しよう
2.社会保障費の削減・公務員賃金の削減に反対しよう
3.原発再稼働反対・憲法改悪に反対しよう
4.組織拡大・組織強化に取り組もう
安倍政権は、農業団体をはじめとする多くの国民の反対の声を押し切って3月15日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への参加を決定しました。TPPは、地域内の貿易や経済活動を活発にするために関税や商取引の慣行を統一することを目指すものです。域内の関税がゼロになれば、日本の自動車など工業製品の輸出が増えるということから安倍政権は、これを推進しようとしています。しかし、TPPへの参加は、農業分野にとどまらず、医療や保険、労働規制などさまざまな分野でアメリカのルールを押し付けられる恐れがあり、大変な危険性があります。TPP参加は、私たちの生活にどのような影響をもたらすのでしょうか?
1.TPP参加で日本の農業は壊滅的な打撃
安倍政権は、TPP交渉参加に当って、コメをはじめとする6品目については、「聖域として守る」という方針を打ち出しています。しかし、そのことが他国に受入れいれられる保障は何もありません。このTPP交渉参加の影響について、大学教員などが調査したところ、農林水産物の関税を撤廃した場合、雇用や所得に与える影響は、農林水産業の就業者が146万5千人減り、農家の所得は11.9%も減少するという推計を発表しました。全産業での就業者数についても190万人減少するとも言われています。
2.TPP参加は、規制緩和と一体で進められる
TPPに参加すれば、関税の撤廃だけではなく、アメリカのルールに従ってその他の規制に関しても撤廃が求められる恐れが強いのです。例えば、遺伝子組み換え食品や農薬の規制についても、アメリカでは表示が義務付けられていないことからその規制の撤廃が求められたりする可能性があります。そうすればこれまでの日本の基準からすれば、危険な食品が大量に出回ることになります。実際、北米自由貿易協定を結んだメキシコでは、食料メジャーと呼ばれる多国籍企業が遺伝子組み換えトウモロコシを大量に輸出し、メキシコの農家は廃業を余儀なくされ、その多くが難民化してしまったという問題も起きています。
3.医療や保険分野などの規制緩和が格差拡大を生み出す
また医療分野では現在禁止されている混合診療の解禁ということを迫られる恐れもあります。混合診療とは、公的保険が適用される保険診療と保険適用外の自由診療を組み合わせる治療を指します。混合診療が認められるようになると、新たに開発された高度医療などは保険適用から外して、自由診療となる可能性が高くなります。すると医療機関はより利益が得られる自由診療を増やしていく可能性があり、保険診療の分野が狭まっていく恐れがあります。規制改革会議では、医療分野への株式会社の算入を認める方向で検討を行っていますが、これは自由診療の拡大に道を開くものです。これでは、所得の格差によって、受けられる医療にも差が出てくるということになりかねません。
高額な自由診療が増えれば、それに備えて新たに民間の医療保険に加入せざるを得なくなります。アメリカの保険会社が日本の医療分野の規制緩和を要求している理由がここにあります。小泉政権が行った郵政民営化も、アメリカからの保険や金融分野の規制緩和の要求がその背景にありました。現在、規制改革会議で進められている規制緩和の議論も、アメリカからの外圧を利用して、解雇規制の緩和を含めた規制緩和を進めていこうという思惑があります。それは、ますます貧富の格差を拡大する危険なものです。