機関紙「全国一般福井」 256号(2010年10月12日)


8/22-23全国一般評議会第6回定期総会

 822日、23日、東京・両国において自治労全国一般評議会第6回定期総会が開催されました。大浦議長が挨拶に立ち、自治労との統合問題に関して石川・福井・岐阜の3県の完全統合を今年中に実現できるよう自治労本部と協議していることを報告しました。経過報告に対する質疑応答では、福井労組の松永委員長が今年4月の運転再開反対集会に多くの地方労組が参加したことのお礼と、12月の全国集会への参加要請を行ないました。翌日、2011年度の運動方針をめぐる質疑応答が行なわれましたが、その中で3県の統合問題への取り組みに全力をあげるよう要望が出されたと同時に、連合本部が進めている「労働者代表制」法制化に反対する意見が相次ぎました。

知っておきたい労働法

――労働協約と労使協定について

 労働組合が経営者との間で取り交わす文書の中には、労働協約と労使協定という2種類の文書があります。はじめて組合役員となられた方は、しばしばこの両者を混同してしまいがちです。ここでは、「労働協約」と「労使協定」それぞれの性格の違いと重要性について解説します。

1.労働協約は、労働組合と経営者が締結する対等な契約

 まず労働協約についてです。労働協約とは、労働組合が経営者との団体交渉によって、労働条件その他に関して合意された内容を書面化し、労使の代表者の署名または記名押印したものをいいます(労働組合法第14)。書面の表題は、「労働協約」となっていなくとも、「合意確認書」「覚書」「賃金協定」などどのような名称でも労使の署名または記名押印があれば労働協約として認められます。

 その内容は、労働条件などの労働者の待遇や組合活動上の権利(組合事務所の貸与、組合費のチェックオフなど)、団体交渉のルールなどについて労使で合意した事項です。

 その効力は、労働条件などの労働者の待遇に関する協約の内容が個別の労働契約や就業規則と相違する場合には、労働協約が優先され、労働協約に反する労働契約(就業規則)の事項は無効となります。ただし、労働協約が労働基準法などの法律に抵触している場合には、その部分は無効となり、法律の規定どおりとなります。適用範囲は、組合員に限られます。

2.労使協定は、労働基準法の規制を緩和するために結ぶ協定

 労使協定は、労働基準法や育児介護休業法などの法律で定められた事項について労働者保護の規制を緩和するために経営者と労働者の代表で取り結ぶ文書のことをいいます。例えば、週40時間、18時間の所定労働時間の規制に反して、時間外労働や休日労働をさせるために結ぶ時間外労働協定(労基法36条に関する協定、いわゆる36協定)などがあります。

 労使協定は、事業所単位で締結し、労働者側には、「当該事業場の労働者の過半数を組織する労働組合」または、そのような組合がない場合には「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」という要件が課せられています。この過半数という場合には、直接雇用されている労働者であり、正規雇用だけでなく、パートや契約などの非正規雇用労働者も含まれます。その効力は、当該事業場で働く全労働者に及びます。

労基法の労使協定

労働協約

交渉の対象

労働基準法などに義務付けられている事項(36協定など)

賃金などの労働条件、組合への便宜供与、団体交渉のルールなど

労働者側

過半数を組織する組合か、過半数の代表

労働組合(過半数の要件なし)

適用範囲

事業所の全労働者

協約締結組合の組合員のみ

効力

労働基準法の規制を緩和。

労働条件の決定に際して、労働契約や就業規則に優先する。労使双方に協約を履行する義務が生じる。

3.職場で過半数の労働者を組織する重要性

 労使協定を締結するためには、非正規雇用労働者を含めて職場で過半数以上の労働者が組合に加入するか、過半数以上の労働者の支持があれば組合役員が従業員代表に選出されます。そうでない場合には、組合役員以外から従業員代表が選出されてしまい、経営者の意向に沿う形で労働者に不利益な協定が結ばれてしまう恐れがあります。とりわけ、近年の法律の改正により、高齢者雇用安定法に定められている再雇用の条件など重要事項が労使協定の対象となっています。その意味からも、職場での過半数の組織化が重要となっています。

 ところで、連合が従業員代表の権限を強化する観点から本年度の運動方針の中で「労働者代表制の法制化」という方針を打ち出しています。しかし、その法案では、使用者の責任において労働者代表委員会を選出することになっており、その選出に経営者の意向が色濃く反映される恐れが強く、少数組合の弱体化に利用されかねません。そうした意味で全国一般は、この労働者代表制に反対しています。

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