<医療過疎の解消(完)>

医療過疎は解消できる

 

第4章 結論――医療過疎は解消できる

 

 医療過疎はヘリコプターによって解消できる――これが本報告書の結論である。

 本報告書としては、ここで初めて「へき地」という言葉を使うが、へき地とは国語辞書によれば「都会から遠く離れた不便な地域」だそうである。これに医療という言葉をかぶせて「医療へき地」というならば、「医療施設から遠く離れた不便な地域」ということになろう。わが国の農山村地域の多くが、この医療へき地に当たるのではないだろうか。

 それも単に不便であるだけならまだ良いが、医療に関する緊急事態、すなわち救急医療を考えると、不便というだけではすまない。事態の如何によっては人の生死を分けることにもなりかねない。

 これまで見てきた全国各地の状況は、むろん極く一部の事例に過ぎないが、農山村地域における医療へき地の現状が深刻な状況にあり、改善の速度もきわめて遅いことを示している。

 対策としては、さまざまな方法があろう。基本的には「医療施設から遠く離れた」状態を解消することで、それには医療施設を各地に増やしてゆけばよい。しかし、そのための時間、人材、費用などを考えると、決して容易なことではない。

 そこで次善の策としてヘリコプターを導入し、物理的、空間的な距離を縮める代わりに、時間的な距離を縮めることが、当面の有効な手段となろう。

 実は諸外国では、この方法によって医療へき地をなくす対策が取られている。たとえばドイツでは、国土の95%以上の地域で、緊急電話から15分以内に医師の乗ったヘリコプターが飛来する。ただし夜間は飛ばないので完璧というわけではない。

 しかし隣接するスイスは24時間体制で、どんな山岳地域でも15分以内に医師が到着し、患者の治療に当たる仕組みができている。こうなると、もはや医療へき地はないといっていいかもしれない。

 同じような体制は、フランス、イギリス、イタリア、オーストリアなど西欧のほとんどの国で、出来上がっている。アメリカでもアラスカを除く本土の9割以上が救急ヘリコプターで保護されている。

 医療過疎はいま全国の農山村地域の大きな悩みであり、健康な生活を営む上でも最大の課題である。その悩みがヘリコプターを使うだけで大きく改善できるのである。

(完)

(HEM-Net、2004.12.8)

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