地形図

土木地質調査の場合,踏査の基本となる大縮尺のマップはすでに用意されていることが多い.ただし,その精度はいろいろだと心得ておく必要がある.

 空測図(S=1:1,000〜10,000)・・・元写真の良好度・図化機のクラスと作成者の腕前による.植生が密な場合など,とくに沢部分での精度が落ちることがある.合流位置が間違っていたり,浅いガリーがとらえられなかったりする.
 実測図(S=1:100〜1,000)・・・・・・担当者の腕前と,予算による.

空測でも実測でも,等高線をやたらに揃えてしまう人がいるらしい.ソフトを使ってもそういう地形図ができてしまう.あまりにもキレイな図面はかえって要注意.現地でおかしいと感じたら,すぐさま実測のルートマップが作れるくらいの心構えは必要. また,地形図作成後の,土工による改変なども簡易測量で補うことができるようにしよう.

地理院の1:25,000地形図を侮ってはいけない.これは要求される水準が高いのでかなり正確で,ヘタな空測の1:5,000より信頼できる場合もある.ただし露岩の多い複雑な地形ではやはり表現能力の限界を超えている.いずれにしろ「調査地域とその周辺9枚の地形図は揃えるべき」(鈴木隆介「建設技術者のための地形図読図入門1」)である. もちろん揃えるだけではなく,きっちりと読図しよう.

調査に使用する大縮尺の地形図だけを持って歩くと,実際に自分がいる場所がわからなくなることがある.また,範囲が狭すぎて,ある程度広域的な地形場の中での位置づけが知りたい時に困ることがある.1:25,000地形図はできるだけ持って歩こう.

最近登場した航空レーザーによる地形図には注目している.1m程度のDEMが作成されるが,これを見たとき,「俺たちの踏査はこの精度なんだ」と納得した.これからは微地形を勘ではなく,図面上でつかむことができる. ただし,植生密度や撮影時期・補正の上手下手によっては期待したような成果が得られないこともなくはない.岩稜のような急傾斜で複雑な地形ではやはり制約がある.さまざまな分野で積極的に導入されることを望む が,もちろん,図面に意味を与えるためには現地へ行って確認しなければならない!

レーザーによる地形図を盲目的に信じてはいけない! 作成には,1)標高データの取得 2)DEMの構築 3)コンターの発生 という多段階のプロセスがあり,それぞれソフトによりデータ処理がなされている.本来地表面ではないデータの混入,データ取得点のばらつき,ランダムに分布するデータからDEMを発生させるソフトの適合性,DEMからコンターを発生させるソフトの手法など,ユーザーにとってはブラックボックスがいくつもあることを忘れてはいけない.条件もわからずに地形図を過信してはいけない.

踏査用の地形図は少なくとも3枚必要.1枚は現地での書き込み用.1枚は室内での清書用.残りの1枚は予備用である.予備の地図は現地での書き込み用地形図を落としたり(最悪!),汚したり破いたり 濡らしたり,大きなミスをしていたことに気がついた時に使う.車に置いておくか,踏査用とは別に持って歩く.

 普通紙にコピー→ 紙の質・インクの質ともに悪い(しかたなくコンビニでやることは多いが).破れやすい.上からフィルム(「スタートレーパー」を貼りつけて耐水にしてしまう手もある(これはきぃすとんさんから教わった).
 耐水紙→ 天端から水が降り注ぐ坑内といった,ヘビーな調査では確かに必要.破れない.ただし鉛筆書きにするとこすれて消えてしまうことがある.また濡れるとボールペンでも書きにくい .三菱の「パワータンク」は多少濡れた紙でも書けるのでおすすめ.
 プリンタで打ち出した図面→ 紙の質はある程度選ぶことができるが,インクはほとんどの場合水溶性なので,野外に持って歩くには都合が悪いことが多い. 雨だけではなく,汗程度でもにじんでしまうことがある.

 

位置の確認

「自分がどこにいるか」を確認することは踏査の基本中の基本.

最近はGPSを使うのが当然になってきた.もちろんGPSがなくても地形図上で位置が同定できるようになることは基本.大縮尺の踏査用マップを予めスマホやタブレットに入れたりすることはまずないので.

GPS受信機としてはガーミンのGPSmap62Sを現在使っている.位置的な精度はそれほど悪くないが,最新の,GLONASS/みちびきの測位には対応していない.もちろん対応機種の方がいいのだが,最近のガーミンの機種はカメラが付いていたり,不要な機能が多すぎて買い換えようという気を殺ぐ.スマホに入れているGeograficaで通常は十分用が足りる.

まずはスタート地点がどこなのかをきちんと確かめよう.普通の踏査なら,車を置いた位置とか,林道の目立つポイントとかである.岩盤スケッチや路線調査の時には基準点を確認する.いずれも図上にメモしておく.

地形図のスケールに慣れることが大事.1/1,000と1/10,000では図上移動距離が違う.大縮尺の地形図上では,思ったより速く移動している.1/1,000・1/500というのは,もはや巻き尺を引っ張りながら歩く調査だ.

山地では高度計が役に立つ.地形図と突き合わせて,こまめな高度校正が必要だが,沢の中のコンターは精度が悪いことも多いので,途中で補正をしないで1作業を通すこともある.このときには同じ点(スタートポイントなど)を,はじめと終わりに2回測っておく.あるいは高さのわかっている点での記録を取っておく.

それでも現在位置がわからなくなることがある.手持ちの地形図の範囲をはずれてしまったり,思いこみが完全な勘違いだったりする場合が多い.このときには,位置のわかっている場所まで引き返すのが原則だけれど,厳しいルートではそれが不可能な場合もある.こういうときは,気がついた時点から新しいルートマップを作り出すしかない.

GeograficaのようなGPSアプリケーションを入れておくと,ポイントごとに記録を入力していくことができる.入力はやや面倒だが(たとえば濡れていたり,手袋をしていると扱いにくい),定形の語句を入れていくような使い方は便利だ.車で移動しながらの概査ではときどきこのような作業をしている.普通の踏査でももちろん使えるが,まだ,紙とエンピツの世界の方に慣れがある.

 

距離や高さを測る

位置の確認に関連して,距離をはかることが大切になってくる.

ミラー不要のレーザー距離計はなかなか便利.林道など,見通しの利くところでは,能率のよい調査ができる.コンパスや傾斜計を内蔵した機種だと,簡単な測量もできる.ただし,藪の中(手前の草や小枝を拾ってしまう),雨や霧の中(雨滴に邪魔されてレーザーが通らない)では使えない.ノイズのためにおかしな値が表示されることがあるので,何回か測ってみることが必要.また,光線の性質上,相手にするものは白い方がよい.黒いものの反射率は落ちるので,うまく距離が測れないことがある.

私が使った最初のレーザー距離計はBushnell社製のもので,堅牢な出来ではあったが,直線距離しか測れないのと,最短距離が14mと長い(現在の製品はもっと短いようだ)のが欠点だった.次に購入したのがOptiLogic社の製品.これは軽く,直線距離のほか,水平距離や高さ,傾斜角も測定できるというものだ.ところが実際にはただ一つのボタンで機能を切り替えるというものだったため,たとえば直線距離を測ってから傾斜を測るためにはボタンを8回も押さなくてはならないという面倒なシロモノだった.それでも,安い値段の同等品がなかなかなく,結構長い間使った.現在は,Nikonの距離計を愛用している.これは一発で直線距離・水平距離・比高・角度が表示されるため大変具合がいい.ファインダも6倍と見やすい.表示時間がやや短いのと,最短距離が10mというのが難点だが,それまでのものと比べると一番いい. ただし,現在の機種は外側に表示が出ないので使いにくい.そのほか使ったものの中ではLaser Technology社のTruePulse200 というのも最短距離が短く,データをストレージできてよい.ただし,このレベルまで来ると値段が10万円を超える.この分野は,GPSと合わせて進歩が著しいので,導入するならいろいろ比較検討する必要がある.このあたりは次のサイトが参考になる.http://www.sunagaimpulse.com/Syozai/Lasersite/Lasersiteall.html

傾斜計や方位計(シルバ社やスント社から出ている)とレーザー距離計を組み合わせて使うのもよい.

最もローテクな「歩測」も大事な技術.これしか使えない場合もある.現場では複歩(右足を出して,次に右足を出すまで)が便利かと思う.いつも同じ歩幅で歩けるような訓練が必要.これには長さのわかっている場所を何回も往復するのがいい.通勤のときにでもできる. 私の場合は10(複)歩15m,平坦な場所なら誤差は5%くらい.

ちょっとした段差を概測するには,「人間レベル」が使える.斜面などで,自分の目の高さを基準に登りながら高さを取る.ただし人間の目は水平にまっすぐ前のものをとらえることが難しい(いつも少しだけ見上げたり見下ろしたりしている)ので,緩い傾斜地の高さを測るのは難しい.

 

ルート選定

地表踏査のルート選定,つまりどのようなルートを歩くか,限られた時間の中でどこを優先的に歩けば効果的か.これがうまく決められれば一人前だ.

与えられたルートあるいはエリアの端から,いきなり歩き出すのはまずい.まずはやや広域的な把握を心がける.歩きやすい林道などで,全体の構造をつかむようにする.少し遠くの山の上から景色を見渡すのもよい.地質構成・地質構造の特性や方向性をつかみ,キーポイントになりそうな場所がどこにあるかを,地形図もみながら考える. 地すべりなどの災害調査の場合,変状のあるところだけを歩いてはいけない.可能な限り,変状を生じていない良好な岩盤を観察して,岩相や構造を把握しておく.

当たり前のことながら,地質構造の方向になるべく直交するルートを取るように考える.地形的にも,沢ばかりを歩くのではなく,露出の良さそうな尾根も歩く.土木的にも問題となる場合の多い低角度の構造は,高度差を稼がないとつかめない.
土木地質調査の場合重要なのは,構造物との関係を常に意識しなければならないことだ.たとえば路線の場合,そこにどのような構造物ができるのか(橋梁か盛土か,切土かトンネルか,など),その場合にどのような問題が生じ得るのか,を無視した,一般的な調査をやっても意味が薄い.地形地質とは関係なく,計画線上は必ず歩く.物理探査の測線があれば,その線上も必ず歩く必要がある. 成果品として横断図や縦断図が要求されるのが一般的だから,それらが現地でわかればそれに沿っても調査する.

とはいえ,崖があったり川が渡れなかったりするので,そういう困難さもある程度予想しながらルートを組み立てる.余裕があるなら,写真撮影(光線の具合)も考慮してルートを決めるとよい.長期間の調査では,天気の悪い日用に楽なルートを残しておくような配慮も必要だ.

普通の地質調査では,沢は登っていく方が見落としのない調査ができる.沢を下る調査は視点が高いために,結構見落としが多くなる. 逆転していたり垂直な地層を除けば,沢を登る調査は堆積順にものを見ていくことになり,考えがまとめやすい.一方,地すべり調査など,半ば地形調査といっても良いような調査の場合は見通しが勝負だから,尾根を下っていく方が効率がよい. 崩壊や土石流の調査でも,発生→流下→堆積という順序で調査するとわかりやすいのだが,その場合上から下への調査ということになる.動くもの,堆積するものの身になって調査する,というのがいい.ただし,地形条件によってそうはいかない場合も少なくはないが.

複数のパーティで分担して調査する場合には,まず全員で「目合わせ」をする.必要なら中間でもおこなう.調査のリーダーは,最後に,全体的なまとめの調査をしなければならない.

 

ルートマップ・野帳・日記

土木地質の人は現場ごとに野帳を使い分けていることが多い.昔はそうしていたが,今はあらゆる現場を通しで一つの野帳に書き込んでいる.「超整理法」的発想で,生データが時系列的に並んでいれば,それが一番検索しやすいからだ.あとから見返す確率の高い,まとまった仕事などの場合は,今使っているものが途中でも,新しい野帳に替えることがある.プロジェクトが終わったらさらに新しい野帳に更新し,古いものに書き足すことはしない.

野帳は片側(右側)だけ使っている.裏写りを避ける,必要なら切り取れる(したことはないが)といった利点があるためだ.裏ページには,観察事項ではない,現場で発想したモデルやメモを書きこむことはある.上下右端の1cmくらいも空けておき,なるべく使わないようにしている.濡れた場合などに字が読めなくなるのを防ぐためだ. 現在の愛用は古今書院のフィールドノート.上質の方眼紙,厚い表紙で堅牢である.黄色(他の色もあるが)の表紙にはスケールも印刷されており重宝する.ただし,書き込んだ情報満載のフィールドノートを,濡れたり飛ばされたり落としたりするおそれのある場所でスケールに使ってはいけない.

書き込みは4色ボールペンを使っている.黒は地形,青は地質,緑は写真番号などと使い分ける.後からの整理が楽だ.ページの右肩に日付と現場名を必ず記入する.

岩盤スケッチやコア柱状図のように,野帳とは別の用紙で作業することもある.多数の崩壊を調査するような場合には,フォーマットを自分で作ることもある。これらはルートマップと同じ扱いをする.書類のどこかに,必ず調査日(年も必要)を記入する.

野帳のほかに,日記帳があるとよい.これはフィールドには持っていかないものである.小さな手帳ではなく,ある程度大判のものがよい.こちらには,毎日何をしたか,どこで,誰と・・・などのメモを書き込む.いろいろな発想を書いていってもよい.この日記帳さえあれば現場データの多少の欠落も補うことができる.卒論の研究ノート以来の私の日記帳は財産の一つだ.

 

筆記用具の蘊蓄

ボールペン:上に書いたように,以前は4色のボールペンを使っていた(メーカーはいろいろ).しかし,最近はほとんど三菱のパワータンクのみ.ボールペンの弱点である,低温で書きにくい・インクがかすれる・紙が濡れると書けないといった点を気にしなくてよいのだ.これはインクタンクに圧力がかかっているためで,たとえば上を向いても書ける.フィールド調査では手放せないものになっている.弱点は,ノックの機構がやや雑で,使っているうちに効かなくなることが多いこと.メーカーへのお願いとしては,せめて0.5mmの細書きを,というのと (赤と黒は出ている),緑色を出してくれ!という2点.
内業で最近使っているのは,パイロットのフリクションボール.なんと言っても消せるのがありがたい.芯の太さや色もバラエティが多く,使える.ただし,インクはかすれやすく,細い0.4mmのものでは濃度が足りず読みにくいのが弱点. 消耗も早いので,予備インクの準備は忘れずに.水性なので,フィールドで使ってはいけない!  高温で消えるインクだということで,車のダッシュボードに置いておいたら書いたものが見えなくなってしまった,という悲劇を聞いたことがある.また,消すのもペンの尻に付いているゴムよりは電動字消しを使った方がよい(鉛筆書きなどが混在していると汚くなる). 多分長期の保存はきかないと思うので,書いたものは必ずコピーかスキャンをしておくことも必要.

鉛筆・色鉛筆・消しゴム:フィールドに持ってゆくのは普通のシャープペンシル.メーカーはあまり気にしていないし,コンビニで買うこともある.芯は太すぎず細すぎずの0.4mmを愛用しているが,このあたりは好みもある.0.3mmは芯が折れやすく,私は性格ゆえにあまり使わないが,きっちりした字を書ける人にはいいかもしれない.硬度はHBかBだが,このあたりも好み. このほか,ラフなスケッチなどをするために,3Bとか4Bの太い芯の鉛筆があると便利.
色鉛筆としてフィールドにもってゆくのはぺんてるのマルチ8が多い.8色の芯(色そのものはもっとある)をコンパクトに使えるのはいいのだが,機構は華奢でときどき芯の交換が効かなくなり,あまりフィールド向きとはいえない.また,高価なので,落とすと痛い出費となる.岩盤スケッチなど,頻繁にいろいろな色を使わなくてはいけない時には,かさばるが単色の色鉛筆を持ちあるく方が効率がよい.これも,消せるという利点を考えると,三菱のアーテレーズカラーがおすすめ.ただし水性なので濡れには十分注意のこと.
書くのと同じように消すのも大事な作業だが,なかなかいい道具がない.フィールドでは,最近トンボのMONO zeroという太さ2.3mmのペンタイプの消しゴムを愛用している.細かいところを消すのには好都合.広い範囲を消すのには,同じくトンボのMONOのブロックタイプのものがよい.消しカスは多めだがよく消える.

ボールペンと鉛筆の使い分け:その場で消せないと困るものには鉛筆を,消せなくてよいものにはボールペンを使っている.だから,フィールドノートはほとんどがボールペン,岩盤やコアのスケッチ・柱状図といったものは鉛筆書きということになる.ボールペンで書いたものは下手に消すより,2本線でも引いておく方が,履歴がわかってよい.

紙:

その他お役立ちいろいろスケールプロトラクターは,分度器とスケールの機能を併せ持った大変便利な道具だ.

普通に分度器とスケール(上のものでは1/500と1/200)が使えるほか,左側の分度器と方眼の組合せで,たとえば「1:1.8は何度だっけ?」とかおおまかな三角関数は読み取れるので,室内だけではなく,現場でも重宝するものとなっている.欠点を言えばカッティングの精度があまり良くないようで,厳密さにこだわる人は気になるだろうが,地質屋的にはこの程度で十分ということか.目盛りが消えやすいので,透明なシールで保護しておくとよい.

比例コンパスは,私のようなアナログ世代の地質屋には,これまた便利な道具で,縮尺の異なる図面を扱う際の必需品といえる.たとえば,1/200の平面図の情報を1/500の断面図に移すなどといった場合に,いちいちスケールを使って数字を読まなくても,比例コンパスを当てるだけで足りてしまう.ちょっと高いけれど,20年来使い続けている.(使い方はhttp://homepage2.nifty.com/okadaenogu/sub-335hireikompasu.html

筆記用具・文房具は定番以外の商品の消長が激しい分野でもある.これぞと思ったものが,品切れ・廃盤になることは多く,たとえばスケッチ板として愛用しているリヒトのクリップファイルはもう売っていないし, 空中写真判読に使うステッドラーのオムニクローム鉛筆もほとんど入手できない.CADの普及でマイラーの方眼もそう簡単には買えなくなった. 代替で出たものがより良いという保証もない.ここぞというものは,棚においてあるうちに買い占めておこう.

露頭観察

「露頭があっても,いきなりそこに取り付いてはいけない.まず全体を見回しなさい.」地質学鉱物学科に移行して最初の巡検のときに八木健三先生から言われた覚えがある.これは至言で,できるかぎりまず遠目から眺め,全体の構造を把握するように努めている.この段階を抜かすと,「実は露頭ではなく転石だった」とか,「局所的にふらついた構造の部分を測っていた」といったような間違いをおかす場合がある.安全上も大切なことで,真上に不安定な転石があるのに気がつかず作業していたなどというおそろしいことも避けられる.スケッチや写真もこの段階でラフなものをとっておくとよい.
観察すべき点を見定めたら,邪魔物(表層の植生など)をできる範囲で除去する.やはりいきなりハンマーをふるわずに,地質や構造などを観察する.ハンマーを使うのは最後の方だ.打ち欠いて岩片を肉眼やルーペで観察したり,軽く打診して強度やゆるみ具合をみる.いろいろな記載をしてから,終わりにまた全体を見回す.土砂などの始末も忘れてはいけない.

岩盤スケッチ (横坑も含む)

S=1/5〜200くらいの詳細な岩盤スケッチがおこなわれることもある.一番の準備は距離あるいはグリッドのマーキングだ.横坑や岩盤スケッチ(S=1/50〜200)の場合には1m格子,トレンチのスケッチ(S=1/20〜50)では50cm格子,岩盤試験面のスケッチ(S=1/5〜20)では10cm格子くらいの目印が必要である.マーキングはスプレーペンキや水糸でおこなう.色を変えてわかりやすいようにする.傾斜した面のスケッチは,展開図として作成する場合と,マーキングそのものを平面図に対応するようにおこなう場合の両方があり,目的や作業のしやすさで使い分ける.試験面のスケッチなどでは予め水糸を張った1m程度の格子枠を作っておくと能率がよい.マーキングをしながら全体の概況を把握する.
このように目印をつけてからスケッチを始める.グリッドのマス目を埋めるようにスケッチするよりは,地層境界や割れ目をグリッドを目安に追跡してゆく方が効率がよい.連続性のよい割れ目や地層境界を優先的に描いてゆき,だんだん細部を埋めてゆくようにすると,全体のバランスがうまくとれる.スケッチとはいっても特徴的な構造などを多少強調して描くことは許容される.できるだけいろいろな方向(上下左右)や距離(遠近)から観察することが,見落としを少なくするコツである.
しばしば迷うのは,対象とする面がきれいな平面ではなく,実際には掘削による不陸(凹凸)があるときに,どこに割れ目の線を引くかという点だ.理想的にはある平面を仮定してそれに投影される位置に線を描くことになるが,それもまた厳密にいかないことが多い.実際には,ほぼ一番掘り込まれた位置で線を描くことになるだろう.
広いエリアを分担してスケッチする場合には,互いにある程度範囲を重複させて,個人差を減らすように努力する.

コア観察

 

走向・傾斜

初心者に対する講習会をやってみると走向・傾斜の測定時に誤りやすいミスをいくつか見つけることができた.ここではそれを参考に,間違えにくい測定法を示そう.

1)まず走向を測る.水準器を使ってクリノメータを水平にする必要があるが,このとき長辺方向ばかり気にして,短辺方向での水平を保たないと,磁針が回らない(a).また,オーバーハングした面を測る時にはクリノメータの出っ張った部分が測定面に当たらないように注意しよう(b).折りたたみ式のクリノメータでは途中で折れないように.

 

 

 

 

 

 (a) 長辺方向の水準器(赤)は水平を示すが,短辺方向の水準器(黄)は水平でなく,クリノメータは傾いている(やや極端な例だが).これでは磁針が目盛盤に当たって回らない

 

 

 

 

 

 (b) 面に対する当て方が反対 蝶番部の出っ張り(青)が邪魔して面にきちんと当たっていない.また,蓋が本体とまっすぐになっていない(ピンク)

 

2)クリノメータを水平に測定面に当てたら,走向を読む.磁針の色(普通赤や青が北方向を示す)に関係なく,盤面の北(N)からの角度を読む(c).

3)走向を測った状態のままで,先に傾斜方位を読む(c).後からだと手間がかかるのだ.走向が大体45°くらいまででは傾斜方位を東(E)か西(W),走向が東西に近く45°より大きいときは傾斜方位を北(N)か南(S)で表現する.ここでは磁針の南北で傾斜方位を判断し,盤面の表示を見てはいけない(クリノメータの盤面表示は東西が逆になっているので,さらに要注意!) また,面がオーバーハングしている時にも方位を間違えないように.

 (c)クリノメータの向きはどちらでも北からの角度を読む(赤).ここではN42°E

ここで,傾斜方位(黄緑)も読む.磁針の青が北だから傾斜方位は南東(SE).南または東のどちらか一方でもよい.

 

4)走向方向と直角にクリノメータを当て直し(慣れないうちは走向方向の線を引いてもよい),傾斜角度を内側の傾斜計で読む.

 

 

 

 

 

 

 (d)傾斜角度を読む(青) ここでは26°

 

 

走向は偏角を含む生の値を記録することにしている(補正はあとでまとめてソフトで,あるいはルートマップ清書の際に). 私はそれで慣れてきたというだけのことで,偏角を補正できるコンパスを使う人たちもいる.チームで調査するようなときは,どちらのやり方をするのかを最初に確認してお かないと後で混乱する.ノートや地図に書き込むとき,走向・傾斜記号と測定値だけを書くと(下図のa),後でこすれたりかすれたりしてわからなくなることが多いので厳禁. 頭の「N」を書かないと走向と傾斜とが混乱することがある(下図のb,面倒なのでここまでしないことも多いが,近接してたくさんの測定値がある場合には必要).走向・傾斜を分けて書く(c)より,一連の方が(d)転記したりする場合に扱いやすい.

偏角を補正できるコンパスを使ったり,簡単な調査や巡検などでアタマの中で補正した値を記録するときは「TN」として補正済みであることがわかるようにしておく.

走向・傾斜ともに読みは1°単位(すくなくとも2°). 5°や10°単位ではステレオネットに投影すると人為的な集中点ができてしまう.1°単位の記録であれば,きちんと測定している「ようにみえる」.ただし,よほどの場合を除いて測定値そのものの精度が要求されることはないので,迅速に.磁針の揺れが止まるまで待つことはない.

概略の方向を記録する時にはカッコを付けるなどして詳細な測定値と区別できるようにしておく.水中にあって測れない方向であっても,何も記録されないよりはいい.

不整な面や微小な面の測定は補助的な板を当てておこなう.ハガキ大の「走向板」もあるが,何でもよい.私はもっぱらスケッチ板を使っている.

「どっちが北?」 まず,自分がどのような空間で作業しているのか見定めよう.横坑ならどの方向を向いているか.岩盤スケッチや沢・道歩きならどっちが北かをきちんと把握しておく.これが測定間違い(傾斜方向の誤りとか,磁針の不調による誤測)を防ぐ.

測定の障害になるもの・なりそうなもの

自然物: 落雷を受けるような尖った露頭,とくに火山岩の場合には要注意.磁鉄鉱や磁硫鉄鉱の鉱床ではコンパスの使いようがない.磁鉄鉱を多く含む蛇紋岩などでも怪しい場合がある.

高圧線: 経験的には大丈夫.超高圧の場合などはわからない

鉄製品: かなり近寄らないかぎり大丈夫(厳密には?). 少なくとも横坑のカスガイや現場の鉄筋などは2,30cm離れればOK.ライナープレートは設置位置より下で測定しないとダメ.重機類2,3m離れれば大丈夫(安全のために近づいてはいけない).ただし,鉄板を扱う大型磁石を付けたものが稼働しているときは10m離れてもダメ.あきらめるしかない.モーターを使うもの,電気溶接の作業現場付近も十分注意すること.

水際線を利用したり,目印になるモノや人を使った遠隔測定はそれほど精度の落ちるものではない.

写真上にクリノメータを写し込むのもよい記録方法だ.磁針が写真上で識別できない可能性がある場合には目印を決めておくとよい(例:クリノメータの長辺が北).

線構造の測定ができない人が多い.ぜひ覚えよう.面構造がきちんと測定されていれば,その上の線構造はただ一つの値だけで決まるが,実際はそうはいかない.とくに緩傾斜面上の線構造は,面構造とは別に,きちんと走向と落とし(プランジ)を測定しておく必要がある.ただし,面構造との間に誤差が生じる.面倒なことを言わないなら,緩傾斜面上では走向のみ,急傾斜面上では落としのみを測定すればよい.

デジタルクリノメータも最近開発された(http://www.gsinet.co.jp/geoclino/index.html).結論からいうと,普通の踏査に使うだけならおすすめしない. しかし狭い箇所で多数の測定をする場合(たとえば岩盤スケッチ)や,迅速に測定をしなければならない場合(たとえばトンネル切羽)には威力を発揮する.特徴は次のとおり.
    測定が1動作で済む:速い・誤りがすくない これは圧倒的にデジタルクリノメータの有利な点 オーバーハングした面も容易に測定できる
    メモリ機能がある:これもよい ただし,いろいろ現場で考えるために,普通は測定値を図上に表現すべきで,この点で現地では時間短縮にならない.測定値をはき出して電子データ化するのには便利
    かさばる:残念ながら現行機種では深田式クリノコンパスの約2倍の大きさ
    キャリブレーションが面倒:毎朝のキャリブレーションは結構面倒なもの
    低温に弱い(らしい):5°付近で使えなくなるという話がある.とすればちょっとまずい.
  そして,残念ながら高価.

ところが,スマートフォンのアプリとして発売されているクリノメータのソフトは,かさばらないのと安いだけでも上記の欠点をクリアしている.私はまだ使っていないので,詳しいコメントはまだできないが,有望かもしれない.スマートフォンを持っている人なら導入しておいて損はない.

 

写真

撮影

デジカメ時代になって,ルートマップや野帳に撮影番号を記入するしかたを変えた.それまではph-1,2,3,・・・という具合に通し番号を振って記録していたが,最近はph0915,1622,・・・などと撮影時刻を記入することにした.デジカメにはそれぞれのファイルに必ず撮影時刻が記録されるので,記憶間違いで重複や飛びを起こしやすい通し番号よりは,撮影時刻のほうが後からの整理が楽なのだ.これは野口悠紀雄「超整理法」の写真版応用である. ただし,コア写真を撮るときなど,撮影間隔が短い時には混乱が生じやすいので注意.

デジカメ時代になって良くなった点は,失敗を恐れずに撮影できるということだろう.その場でモニタでも確認できるし,最悪その日のうちにパソコンの画面上で見ることができる.ダメな画像はどんどん消去してしまえる.うまく撮れるに越したことはないが,下手でもレタッチで救うことができる(コア写真などの成果品ではオリジナル画像をレタッチすることは禁じられているが).要するに写真屋がやっていたことを個人でもできるようになったということだ.これはこれでいろいろ大変な面はあるが,悪いことではない. ただしこの気楽さ故に,撮影枚数は格段に増えた.

GPSを連動させられるカメラであれば,特に意識しなくても撮影位置を特定できるし,撮影方向も記録されるので便利.ただし,バッテリーの消耗は早いことに注意.カメラの時刻設定を秒単位まで合わせておけば,GPSと連動させていなくても,「カシミール3D」のデジカメプラグインを使って撮影位置を同定し,EXIFに書き込むことができる.

私は写真の撮り方があまりうまくなく,ときどき失敗する.ちっとも懲りずに同じような失敗を繰り返しているので,決してエラそうなことはここに書けない.たとえばこんな失敗.

 手ブレ・ピンボケ・・・前者が多い.落ち着いてシャッターを切らないからだろう.沢や森の中では光量が足りないことが多く,シャッター速度が遅くなり勝ちなのが主因である. 片手でシャッターボタンを押すのはできるだけ避けたい.また,写したいもの以外にピントが合ってしまっていることがときどきあった.特に近接撮影でそうなりやすいので気をつけてはいるのだが,一眼レフ以外で確認するのは結構難しい.

 設定ミス・・・ASA/ISOナンバーの設定ミス・フラッシュシンクロの設定ミスなどなど.デジカメになって撮影直後にモニタリングができるにもかかわらずチェックを怠っていたりする.

 意図不明写真・・・何を撮ったのかわからない写真がたくさんある.これは撮影の問題ではなくて,撮影記録の問題でもあるが.「見えているようには撮れない」のを実感するのは,地すべり地の地形を撮影したりする時だ.手前の藪ばっかり写っていたりして..スケールをつい真ん中に置いて撮ってしまうこともよくやった. 遠景にあるものと近景にあるものの2つをまとめて撮って両方に使おうなどと欲張ると,結局どちらにも中途半端な写真になってしまう.デジカメの録音機能を使って,撮影と同時に音声でメモをとる人もいる.

 つなげない写真・・・望遠で連続写真を撮るときの失敗.部分部分がつながらないと一枚だけでは何がなんだかわからなくて,プリント相手にジグゾーパズルをやるはめに陥る.デジカメ写真はキャノンの「photostitch」とい ったソフトでつなげることが多いのだが,ラップ部分が20%くらいないと作動してくれない.photoshop付属の「photomerge」なら何とかなることが多いが,間が抜けたものはさすがにつなげない.アップ写真の他に,せいぜい1,2枚に納める全景写真が絶対必要.

 色が..・・・あまりに天気の良すぎる雪景色の中で,目的の露頭が真っ黒にしか写っていなかったり,夕暮れに撮影したコア写真がピンク色だったり.これは基礎知識の不足です.

整理

撮影した写真は できるだけその日のうちに処理する.最低限,タイトル(何を撮ったか)の確認・撮影位置・つなぎ処理程度の整理をしなければならない.撮影枚数が多く,対象物に特徴のない点検ものなどの写真は,これを怠ると結構混乱する.デジタル写真の場合,タイトル黒板などを写して適当な切れ目を作るのも工夫のひとつだ.

 

サンプリング

「何のためのサンプリングか?」を確認しよう.そのことで,サンプルの大きさや採取後の扱いが全く異なるものになる.準備する道具も違う.詳しくは各専門の教科書(たとえば「第四紀試料分析法」)などに解説されている.

 地質学的な試料
大型化石: 一般に,現地で判断して「これは」というものを持ち帰る.大型のアンモナイトなど,普通の岩石ハンマーでは取り出せず,大型のハンマーが必要になることもある.一人では持ち帰れない場合もあるし,当然踏査の途中持ち歩きもできないので,目印をつけて現地付近に置いておき,あとで回収するといったやりかたをとる.これで貴重なサンプルを盗まれたとか,どこに置いたかわからなくなったという悲劇もないわけではない.
微化石: 肉眼ではほとんど見えない(放散虫はルーペでわかることがある)ので,機械的なサンプリングにならざるを得ないことが多い.普通はひとつかみ,ビニル袋1つに入る程度でよい.風化岩などは避けるとして,どのようなところに化石が多いのかを見極めるには経験が必要.私はその域に達していません.
岩石標本:一般的にはニギリコブシ大に採取されることが多い.たとえば成果品として提出する場合にはそれくらいの大きさがいいだろう.踏査時の補助で各地の岩相を比較するのが目的ならもう少し小さくてもいい.逆に,少しスケールの大きな構造などを研磨して解析しようといった場合にはもう少し大きなサンプルが必要になる.
薄片試料:薄片を作成するだけなら3cm大の小さな塊で十分だが,普通は予備も含めてもう少し大きいものを取る.
年代測定試料:よく利用される14C年代試料は,最近AMS法などが使われるようになって少量で済むようになってきた.火山灰の鑑定試料も小さいサンプル瓶一つ程度の量で足りる.少量の試料採取では混淆(コンタミネーション)に十分注意する必要がある.道具は,採取のたびにきれいに洗わなければならない.

採水試料

 工学的な試料(岩の場合)
   物理性試験試料:
   力学試験試料:

 ナンバリング・梱包・輸送と保管
採取したサンプルは,「すぐに」番号を付けなければいけない.小さなサンプルだからポケットに入れて,後で番号を書こう,というのは絶対に避ける.同じようにして採った他のサンプルと混同したり,サンプルかどうかわからなくなるといったことが起こりやすい.同時に,ルートマップなり野帳に,必ずサンプリングの記録を残す.


サンプルの番号としてよく使われる方式と得失とを挙げておこう.試料の数や調査法によって適宜使い分ければよい.複数で調査・採取する場合は打ち合わせが必要.入力の便宜のためには桁数を揃えておくほうがよい.

日付-連番                04091001        よく使われる.個人で長期のまとまった調査ではよい.

地域名(の略称)-連番     BAN006         露頭との連想をつけやすい・チームの場合も混乱しない

採取者-連番               HN152          チームで調査する場合責任が明確

場所(孔番号など)-深度  B6-42.4     試験試料などではよく使われる.

数字だけで桁数が少ないと,上下を間違えるおそれがある(たとえば061と190).こういう場合はアンダーラインを引くのがよい.逆に桁数が多すぎると,小さいサンプルに書き込めないといった問題が起きることがある.

番号はなるべく大きくはっきりと書く.0,3,6,8,9 や1,7 は判読が困難になりやすいセットである.アルファベットが入るともっと多くなる.サンプルどうしがこすれあって番号(の一部)が消えたり欠けたりしない位置に書き込む.できれば2ヶ所書いておく.新聞紙やビニル袋に入れる場合には両方に書く(書き込めないものを除いてサンプル側を省略してはいけない).袋の中に番号を書いた紙片を入れることもある.

定方位試料では番号ともども,方向の記号が重要である.消えないように注意.ボーリングコアなどでは→で上下を示すより,「上」「下」などと書いた方が誤解がない.

 

調査の四季

依頼されたお仕事はいつでもお引き受けせざるをえない立場だけれど,できるならそのフィールドにマッチした良いシーズンを選んで調査したいものです.

:少しずつ日も長くなり,暖かくなると調査の季節だ.芽吹き前後の山は歩いていても気持ちがいい.落葉樹林では視界がよく効き,積雪地では下草が起きあがらないこの時期の調査が一番能率がよい.残雪を利用して,夏場には行きにくいところの調査ができることもある(それなりの経験・装備はもちろん必要).ただし花粉症のひとにはつらい季節かもしれない.山菜さがしも余録.

:高い山,沢や海岸の調査はやはり夏がいい.日も長く安心して調査できるし,寒くないのはありがたい.反面,ヤブが濃くなって歩きにくいし,微地形も見づらい.ヒルだの蚊だのといった不快な生物も活躍するので,地すべり調査などはあまりしたくない(やりますが).炎天下で仕事するときは熱中症や過度の日焼けにもご用心.梅雨時の調査もつらいものがありますね.

:暑さが一段落すると,低い山での調査シーズンがふたたびはじまる.源頭部に雪が来るまでは水温も高く,水量の少ない沢あるきは気持ちがいい.落葉すると見通しもよくなり,斜面調査にも好適.小春日和の調査は快適だけれど,雪が来る前には雨の日でも調査に追われることがあり,落差が大きい.不快な生物は夏ほど元気でないとはいえ,ハチやクマの活動性は高くなるので注意. 台風をはじめとした豪雨には十分注意が必要.

:日が短く,寒いので,調査にあまり適している時期とは思われていないが,実はそうでもない.早朝に出発できれば調査時間はそれなりに確保できるし,不快な生物はほとんどお休み中なのがいい.照葉樹林帯の調査は冬がいいですね.防寒・防風・防水の装備をしっかりと.もちろん積雪地や水辺の調査は困難あるいは不可能 (凍結しているので行ける,という現場もあったけれど).